投稿日:2025年07月08日/更新日:2025年07月08日
マリコン(マリンコントラクター)海洋土木を徹底解説|今後の動向やマリコン大手3社も紹介
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海洋土木の分野では、港湾整備や洋上風力発電施設の建設、AIやIoTの活用などが進んでいます。
特に、人口増加と気候変動が顕著にみられるなかで、現代の海洋土木工学で革新を求める大きな要因となっています。
また、若者の土木業界への就職率の低さや離職率の高さが顕著に見られ、業界内での課題となっている状況です。
海洋土木建設のことを、一般的にマリコンと呼ばれており、注目度が高まっています。
本記事では、マリコンについて徹底解説します。
マリコンの現状や将来性まで含めて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

マリコン(マリンコントラクター)とは?
マリンコントラクターとは、海洋土木建設のことを指し、マリコンという愛称が付いています。
海洋土木工事の主な種類としては、埋め立て工事や大型船が通行できるようにする浚渫工事や、外海からの荒い波から港の中を守るための防波堤、河岸を守るための護岸、海底トンネルや海底道路工事などが挙げられます。
また、海洋土木では工事だけでなく、より高度な工事を実施するため常に新しい技術開発にも取り組んでいる特徴があります。
強力な高圧に耐えられる深海作業に必要な機械や、激しい海流に耐える建造物の設計などが、マリコン業界で取り組まれている状況です。
マリコン業界で働く技術者の場合、日々革新的なアイデアを追求して現実のものにするために活動しています。

マリコンの3つの特徴
マリコンには、主に以下3つの特徴があります。
- 幅広い事業を展開している
- 規模が大きい
- 海外での現場が多い
マリコンの特徴を知ることで、よりマリコンに対して魅力を感じることでしょう。
各特徴について、詳しく解説します。
幅広い事業を展開している
マリコンの主体は海洋土木工事となりますが、実際には海洋土木の技術をベースとして陸上の土木や建築へと事業を展開する企業が多い特徴があります。
特に海洋土木は専門的な分野であるため、一般的なゼネコンと比較しても競合他社が少ない傾向があります。
これにより、安定した収益が期待でき収益の柱を確保できている状況であるため、積極的な幅広い事業展開が可能となっているのです。
規模が大きい
事業の規模が大きいことも、マリコンの大きな特徴の1つです。
建設工事の多くが国土交通省港湾局などの官公庁や、プライベート港を有している大企業からの発注です。
そこで、中小陸上土木会社の参入は困難な傾向があります。
単純に工事面積が広いだけでなく、海が対象となる関係上水中という深さの要素もマリコンの特殊な事情となります。
陸上の建設工事では2年半程度で竣工を迎えるケースが多い中で、マリコンの工期は10年以上かかるケースも少なくありません。
実際に、津軽海峡を横断して本州と北海道を結んでいる青函トンネルは、24年の月日がかかり完成しました。
また、土木のアポロ計画とも呼ばれていた東京湾アクアラインについては、調査だけで20年、建設にも10年かかって世界最大規模の海洋土木工事により完成したのです。
以上のように、規模が大きな仕事を多く対応しているのが、マリコンの特徴となっています。
海外での現場が多い
海外での現場が多いことも、マリコンの特徴となります。
1960年代や70年代にかけて、海外に進出した日本企業も存在するなど、非常に歴史が古いです。
近年でも、ODA(政府開発援助)に積極的であることから、特に東南アジアでの実績が豊富。
日本のマリコンは海外における評価が非常に高い傾向にあり、特にスエズ運河の増進拡幅工事を成功させた五洋建設が有名となりました。
これにより、五洋建設はシンガポールと香港にも拠点を持っておりグローバルに活動しています。
海外を相手に仕事をしたい人にとって、マリコンは魅力的な存在です。

マリコン業界の大手3社
日本のマリコン業界において、大手と呼ばれているのが以下3社です。
- 五洋建設株式会社
- 東洋建設株式会社
- 東亜建設工業株式会社
各社の特徴について、詳しく解説します。
五洋建設株式会社
1896年に創業された五洋建設株式会社は、海洋土木から陸上土木、建築に事業拡大してマリコン首位の実績を誇る企業です。
また、ゼネコンとしても日本の準大手総合建設会社の1つとして知られています。
海洋土木ではスエズ運河拡幅増深工事を筆頭に、海外の巨大プロジェクトで実績があり世界的にも有名な存在です。
特に、1975年からスタートしたエジプトのスエズ運河工事は、NHK「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」でも取り上げられたなど、五洋建設株式会社にとって大きなトピックスの1つとなっています。
五洋建設株式会社は国内土木と国内建築、海外建設の3つの事業のバランスが良く安定している特徴があり、サステナビリティ経営を実践しています。
東洋建設株式会社
東洋建設株式会社は、兵庫県西宮市鳴尾地先を埋め立てることで工業港を建設することを目的として、1929年に設立された企業です。
海洋土木事業に強みがあり、現在では海洋土木だけでなく2003年に前田建設の傘下に入ったことにより、陸上建設にも進出している特徴があります。
東洋建設株式会社は海洋土木において高い技術力があり、「海の東洋」とも呼ばれている存在です。
洋上風力発電や土木技術については、革新的なソリューションを提供しており、高い注目を集めています。
東亜建設工業株式会社
1908年に創業した東亜建設工業株式会社は、主力の海洋土木事業や海外事業、建築事業と展開した歴史があります。
1963年から50年の歴史を誇り、50か国以上でプロジェクトを勧めた実績があります。
羽田空港や関西国際空港、中部国際空港の埋立工事で実績を残しており、高い評価を得ているマリコンです。
東亜建設工業株式会社は、高品質かつ経済性に優れた工事を実施することで、社会からの期待に応える活動を展開しています。

マリコン業界の今後の動向
ここでは、マリコン業界の現状と今後の動向について解説します。
マリコンの現状
建築や土木業界では社会情勢に影響を受けやすい傾向にあるものの、マリコンは比較的影響を受けることは少ない傾向にあります。
これは、マリコンが五洋建設株式会社や東亜建設工業株式会社、東洋建設株式会社の大手3社を中心とした業界となっており、競合企業が少ない傾向にあるためです。
また、専門的な分野の業界となっている関係上、新たに参入する企業も少ないという特徴があります。
大手3社が大半の海洋土木に関する仕事を請け負っており、独占的な市場となっているため、今後経営が大きく傾く可能性は極めて低いと言えます。
マリコン業界の将来
マリコン業界では、防災や減災関連の工事需要が見込まれている状況です。
また、港湾などに対する公共投資も続いているため、今後も比較的安定した収益が期待できます。
さらに、多くの企業において今後も海外展開に注力して事業を展開する国を増やしていくことが予想されています。
よって、新卒で入社する若手も海外で活躍する機会が多くなるでしょう。
日本各地で発生している地震や豪雨と言った自然災害は、甚大な被害をもたらすケースが増えています。
災害から国民の生命と財産を守る上で、防災や減災対策に対してさらなる強化が不可欠です。
そこで、国土強靭化計画に従って堤防の強化や河川改修、耐震性が高い建物への建て替えなどのニーズが高まり、マリコン業界が活性化していくことでしょう。
まとめ
マリコンは海洋土木建設のことを指す言葉ですが、実際には海洋のみならず通常の土木工事もノウハウを活かして対応するケースが多いです。
また、日本のマリコンは海外でも高いニーズを誇っており、海外での大型事業にも参画しています。
今後も、海外で幅広く活躍していくとみられるマリコン業界に、これからも注目しましょう。