投稿日:2024年02月06日/更新日:2024年09月12日
建設業界と生成AI|活用メリットや事例、今後の展望まで解説
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成果中で生成AIに対する注目が集まる昨今、建築業や製造業でも生成AIや新しいテクノロジーを活用したビジネスに注目が集まっています。
しかし、どのような施策を導入するべきなのか、どのような事例があるのかいまいちピンと来ない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、建設業界で生成AIを活用するメリットや事例、今後の展望までを解説します。
ぜひ本記事を参考にして、自社ビジネスに新しい風を取り入れましょう。
生成AIとは
そもそも生成AI(Generative AI)とは、テキスト・画像・音声などさまざまなコンテンツを自動的に生成するAI(人工知能)のことを指します。
代表的なサービスとしては、ChatGPTやBing Chat、DALL·E 3、Stable Diffusionなどが有名です。
建設業界×生成AI 活用状況
本章では、建設業界と生成AIの活用状況を見ていきましょう。
下記の図は、2023年6月に株式会社帝国データバンクが発表した「生成AIの活用に関する企業アンケート」の調査結果です。
参照:生成AIの活用に関する企業アンケート|株式会社帝国データバンク
建設業において、業務で生成AIを活用・検討している企業は50.8%、しかし実際に活用できているのは3.1%に留まっています。
また、下記の図は企業全体のアンケート結果を円グラフに表したものです。
生成AIの活用・検討は61.1%と高数値ですが、実際に業務で活用しているのは9.1%とこちらも差が大きい結果となりました。
建設業界で生成AIを活用するメリット
本章では、建設業界で生成AIを活用するメリットを3つ紹介します。
- 設計や工程管理の効率化を図れる
- 品質向上や安全対策の強化
- 人手不足を補い時間短縮できる
それぞれ見ていきましょう。
設計や工程管理の効率化を図れる
まず1つめは、設計や工程管理の効率化を図れる点です。
設計については、デザインラフや過去の成功事例、現行トレンドを自動で分析して、最適な設計やデザイン案を提案してくれます。
複雑な工程をスルーして、多様なデザインを比較・検討でき、設計プロセスの時間とコストを大幅に削減可能です。
また、状況に応じた工程管理をAIに学習させれば、現場ごとに最適な工程管理を出力することも可能です。
これにより、進捗をスムーズに管理し、計画通りにプロジェクトを完了させることもできるでしょう。
品質向上や安全対策の強化
2つめは、品質の向上や、安全対策の強化を図れる点です。
AIを活用すれば、ヒューマンエラーや人為的ミスなど、なかなか気づきにくい細部もチェックできるため、全体の品質を向上できます。
また、AIが過去のリスクに関するデータを学習しておけば、潜在的なリスクや危険な状況を事前に予測して知らせてくれることも可能です。
お知らせ機能以外にも、どのような改善策があるのかも提案してくれます。
人手不足を補い時間短縮できる
最後のメリットは、人手不足を補える点と、時間短縮ができる点です。
AIをうまく活用できれば、最小の人数と最短の工程で、事務やデザイン、設計関連を効率化できます。
3Dモデルやお問い合わせ窓口の自動化は、多くのサービスやアプリが開発されています。
また、ツールやAIを活用することで、属人化せずに業務を進められるメリットもあります。
建設業で活用されている生成AI事例
本章では、建設業界で活用されている生成AIの事例を3つ紹介します。
- 大林組
- 清水建設
- 鹿島建設株式会社
それぞれ紹介します。
株式会社大林組
株式会社大林組は、1892年創業の総合建設会社です。
同社では、2023年7月にAIを活用した設計支援ツール「AiCorb(アイコルブ)」の社内運用を開始。
AiCorb(アイコルブ)の機能は、手描きのスケッチや文章を基に、建物の外観デザイン案と、生成したデザインを基に3次元(3D)モデルを作成するツールです。
今後は、一般向けに追加機能の開発やAIモデルの性能向上などを進めています。
参照:建築設計の初期段階の作業を効率化する「AiCorb®」を開発|株式会社大林組
清水建設株式会社
清水建設株式会社では2024年2月のプレスリリースで、メタバース(仮想空間)に施工中の建物をリアルに再現し、遠隔地から建物の諸検査が実施できる「メタバース検査システム」を発表しました。
遠隔地からアバターとして仮想空間上の関係者との音声会話はもちろん、工程写真や各種検査報告書などの書類データ確認も行えるようです。
将来的にはシステムを一般に公開して、建築生産の効率化に尽力するとしています。
参照:メタバース空間に施工中建物を再現し、遠隔地からの諸検査を実現|清水建設株式会社
鹿島建設株式会社
大手総合建設会社の鹿島建設株式会社では、自社および国内外のグループ会社従業員約2万人を対象に、独自開発した対話型AI「Kajima ChatAI」の運用を2023年8月に開始しました。
社内業務に対する質問や情報をAIでスピーディーに検索できるため、業務の効率化と生産性向上に役立っているようです。
以前までは、生成AI上で入力した情報がAIの学習データに取り込まれ、第三者の回答に利用されることで同社の重要情報の漏えいが発生するリスクがあったため、生成AIの利用は禁止していました。
そのため、より安全に「社内だけ」で使える生成AIの開発に力を入れたようです。
参照:グループ従業員2万人を対象に専用対話型AI「Kajima ChatAI」の運用を開始|鹿島建設株式会社
生成AIを建設業界で使う際の注意点
本章では、生成AIを使う際の注意点や懸念点を3つ解説します。
3つのポイントは下記のとおりです。
- 抽出データがすべて正しいとはいえない
- AIに対する過度な依存や信頼はNG
- セキュリティとプライバシーを遵守する
それぞれ解説します。
抽出データがすべて正しいとはいえない
1つめは、抽出データがすべて正しいとはいえない点です。
AIの学習度や熟練度、データソースの偏りなどで、生成にばらつきが生じます。
誤った情報を生成しないためにも、データのクリーニングや整合性のチェックを定期的に行い、データの質を確保しておくことがポイントです。
AIに対する過度な依存や信頼はNG
2つめは、過度な依存や信頼してはいけない点です。
例えば、危険予測をするAIを活用している場合「危険ではない」とAIが評価しているため、工事を続行するなどのように、妄信的になってはいけません。
人の直感や経験に基づく判断を大切にし、あくまでAIはアシストやサポート的な活用にとどめておくことがポイントです。
セキュリティとプライバシーを遵守する
最後は、セキュリティーやプライバシーを守ることです。
個人情報や機密情報を扱う場合は特に情報流出や漏洩に気を付けなければなりません。
定期的なセキュリティ監査やプライバシー保護の教育を行うなど、従業員や関係者のリテラシーを高める施策が重要です。
今後の建設業と生成AIの展望
本章では、今後の生成AIの展望を見てみましょう。
- ロボットの導入
- 検査の自動判別
- ビルマネジメントへの活用
それぞれ紹介します。
ロボットの導入
自動走行ロボットや自動操縦ロボットなどは一部で活用され始めていますが、今後は生成AIを活用したロボットの導入も進むと考えられています。
生成AIを活用することで、より高度な判断を導き出せるため、ロボットが環境を認識し環境に応じて適切な作業を判断・実行できるようになるでしょう。
検査の自動判別
建設工事ではさまざまな検査があり、現在でもAIが活用されています。
例えば、画像認識AIが写真や動画から外観検査するシステムはさまざまなツールやアプリが開発中です。
また、メタバース内に施工中の建物を丸ごと作り、VR空間で各検査できるシステムも発表されました。
ビルマネジメントへの活用
建築物に関する総合的なマネジメント業務でも、生成AIの活用が考えられるでしょう。
特にネットワークで構築された「IoT」との相性も良いため、注目されている部門でもあります。
まとめ
生成AIはテキスト・画像・音声などさまざまなコンテンツを自動的に生成するAI(人工知能)で、さまざまな分野で活用が始まっています。
大規模なシステムやツールになると費用やコストが高いですが、日常で使えるシステムや、無料で利用できるツールも豊富です。
問い合わせへの自動返答や、文章作成時のアシスト機能など、簡単に活用できるところから生成AIを使ってみてはいかがでしょうか。