投稿日:2024年02月08日/更新日:2024年09月12日
【5分でわかる】建設キャリアアップシステム(CCUS)のすべて|料金や申請方法も
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2019年より運用が開始された国土交通省推進の建設キャリアアップシステム(CCUS)は、2023年に義務化され、今後はマイナンバーカードとの一体化などで利便性が一層高まると予想されています。
本記事では、建設キャリアアップシステムの目的や義務化の動向、登録するメリットや申請方法を網羅的に解説します。
義務化への罰則はないものの、ぜひ記事を参考にして建設キャリアアップシステムを理解しましょう。
建設キャリアアップシステムとは
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、国土交通省が推進している建設に関するシステムのことを指します。
内容は、建設業に関わる技能者の資格や社会保険加入状況、現場履歴などを登録・蓄積して、適正な評価や事業者の業務負担軽減に役立てるための仕組みです。
2019年より運用が開始され、2023年には義務化へと変化しました。
今後はマイナンバーカードとの一体化を目指しています。
建設キャリアアップシステムの目的や目標
本章では、建設キャリアアップシステムを推進する目的を解説します。
主な目的は以下の3つです。
- 技能者キャリアの見える化
- 技能者の確保や育成
- 事業者の業務負担軽減
それぞれ見ていきましょう。
技能者キャリアの見える化
1つめは、技能者のキャリアの見える化です。
技能者のスキルを4段階に分けて評価する「能力評価制度」を設けており、カードの色分けによって、視覚的にスキルを見える化しています。
カードの色によるスキル分けは以下のとおりです。
参照:【CCUSポータル】 能力評価制度について|国土交通省
システムに登録されている技能者のスキルや技能と経験に基づいて、分野ごとの能力を各団体が評価実施を行い決定されます。
技能者の確保や育成
2つめは、技能者の確保や育成を目的としている点です。
もともと建設業では、各個人の技能スキルが統一されておらず、また総括できるような評価システムもありませんでした。
そのため、入社した事業所や所属する団体によっては、的確な評価や育成がされずに多くの人材が離れて行った過去があります。
下記は、国土交通省が発表している年齢階層別の建設技能労働者数グラフです。
参照:建設業を取り巻く現状と課題|国土交通省
グラフからもわかるように、若手がとても少なく、今後の人材確保やスキルや技能継承に問題が発生するのは目に見えて明らかです。
そのため、建設キャリアアップシステムを活用して業界ルールを統一化することで、スキルの向上はもちろん、適正な評価で人材の確保にも繋げようとしています。
事業者の業務負担軽減
最後は、事業者の業務負担の軽減です。
技能者のデータはオンラインで記録・管理されるため、煩雑な紙ベースの管理も不要。
印刷コストや管理コストもかからず、さまざまな負担を軽減可能です。
また、技能者の保有する資格や保険の加入状況、元請業者への請求書類なども簡単に作成できるため、業務効率化に繋がります。
そして「建設業の2024年問題」といわれている2024年4月1日から適用される働き方改革関連法(建設業では、時間外労働の上限規制や割増賃金の引上げ)の適正な管理にも、一役買ってくれるツールでしょう。
義務化への移行と現在の利用状況
2023年より、建設キャリアアップシステムは原則義務化の運びとなりました。
ただし、登録しなくても特別な罰則はありません。
下記は、2023年11月末に発表された登録数のグラフです。
技能者は132万人、事業者は24万社が登録しており、年々増加傾向であることがわかります。
参照:建設キャリアアップシステムの利用状況(2023年11月末)|国土交通省
また、下記は元請完工高シェアと事業者登録の進展状況を表したグラフで、2023年6月末に公表されたものです。
参照:建設市場における元請完工高シェアと事業者登録の進展状況(2023年6月末)|国土交通省
元請建設業団体会員企業では、市場規模の86%を担う元請事業者が事業者登録済みであることがわかります。
完工高が高い企業(大手ともいえる)は、高い割合で登録しているため、大手案件の現場に行く際には建設キャリアアップシステムの登録は必要不可欠であるとも予想できるでしょう。
また、今後はマイナンバーカードとの一体化、一本化も目指しているようなので、登録へのハードルは下がりそうですね。
建設キャリアアップシステムに登録する技能者のメリット
本章では、システムに登録した際に得られる技能者のメリットを解説します。
主なメリットは以下の3つです。
- 正当な給料や処遇を受けられる
- 労災や給料などの未払いを回避できる
- キャリアアップの計画が立てやすい
それぞれ見ていきましょう。
正当な給料や処遇を受けられる
まず最も大きなメリットは、正当な給料や処遇、対応を受けられることです。
経歴や技能レベル、保有資格が一元管理されているので明確にスキルを提示できます。
また、就業記録が残るため、万が一トラブルが発生した場合でも動かぬ証拠として使える安心感もあります。
労災や給料などの未払いを回避できる
いままでは、労災や給料、退職金などを正しく受け取れない問題がありました。
人為的なミスや、言った言わないの水掛け論、資金ショートなどでうやむやにされるなどブラックな状態が続いていましたが、建設キャリアアップシステムを使えばさまざまな未払いを回避できます。
また、事務手続きも簡略化されるため、手続きがスムーズな点もメリットです。
キャリアアップの計画が立てやすい
最後のメリットは、キャリアアップの計画が立てやすい点です。
能力評価基準一覧は下記のとおりです。
電気工事 | 橋梁 | 造園 | コンクリ圧送 | 防水施工 |
トンネル | 建設塗装 | 左官 | 機械土工 | 海上起重 |
PC | 鉄筋 | 圧接 | 型枠 | 配管 |
とび | 切断穿孔 | 内装仕上 | サッシ・CW | エクステリア |
建築板金 | 外壁仕上 | ダクト | 保温保冷 | グラウト |
冷凍空調 | 運動施設 | 基礎ぐい工事 | タイル張り | 標識・路面標示 |
消防施設 | 建築大工 | 硝子工事 | ALC | 土工 |
ウレタン断熱 | 発破・破砕 | 建築測量 | 圧入 | さく井 |
解体 | 計装工事 |
参照:【CCUSポータル】 能力評価制度について|国土交通省
それぞれ能力評価基準ページが見れますので、活用してください。
建設キャリアアップシステムを導入する事業者のメリット
ここでは、システムを導入した事業者側のメリットを紹介します。
主なメリットは以下の3つです。
- 業務負担を軽減できる
- 現場管理の効率化やアピールができる
- 入札で優遇される
それぞれ解説します。
業務負担を軽減できる
事業者側の最も大きなメリットは、業務負担の軽減でしょう。
さまざまな情報をインターネット上で一元管理できるため、データの抽出や集計、資料作成などが簡単に実行できます。
また、工事完了後でも、各技能者がどの現場で業務をしていたのか過去の実績もさかのぼって確認可能です。
データを蓄積していくことで、ビッグデータとして活用することもできるでしょう。
現場管理の効率化やアピールができる
2つめは、現場管理の効率化や、技能者や他社へアピールできる点です。
技能者の就労記録や保持する資格情報をすぐに調べられるため、現場での立ち回りや班構成が容易にできます。
また、元請け業者が技能者情報をチェックすることで、優秀な技能者を雇用する選定にも役立つでしょう。
入札で優遇される
最後のメリットは、公共工事への入札で優遇措置がある点です。
下記は、2023年11月に国土交通省より公表された、47都道府県の工事評価ランク一覧表です。
参照:都道府県におけるCCUSに係るモデル工事等の状況|国土交通省
都道府県発注工事は、42道府県が企業評価の導入などを表明しており、またほか全ての都道府県においても導入の検討を表明しています。
建設キャリアアップシステムの申請方法
ここでは、建設キャリアアップシステムへの申請方法を紹介します。
技能者・事業者ともに、システムへの登録は、インターネットか認定登録機関で申請が可能です。
技能者による申請
技能者による申請の詳細は以下のとおりです。
簡略型と詳細型があるので、どちらか一方を選択しましょう。
また、簡略型から詳細型へ切り替える際は、詳細型の差額分を支払うことでアップデート可能です。
認定登録機関で申請する場合は、詳細型のみ受け付けているため注意しておきましょう。
事業者による申請
事業者による申請は以下のとおりです。
規模(資本金)に応じて登録料が変化します。
登録料の一覧は下記のとおりです。
一人親方 | 0円 |
500万円未満(個人事業主含む) | 6,000円 |
500万円以上1,000万円未満 | 12,000円 |
1,000万円以上2,000万円未満 | 24,000円 |
2,000万円以上5,000万円未満満 | 48,000円 |
5,000万円以上1億円未満 | 60,000円 |
1億円以上3億円未満 | 120,000円 |
3億円以上10億円未満 | 240,000円 |
10億円以上50億円未満 | 480,000円 |
50億円以上100億円未満 | 600,000円 |
100億円以上500億円未満 | 1,200,000円 |
500億円以上 | 2,400,000円 |
参照:ご利用方法・料金|建設キャリアアップシステム
また、登録の有効期限は5年間で、5年ごとに更新料が必要です。
まとめ
建設キャリアアップシステムとは国土交通省が定めた、技能者のキャリアを見える化する仕組み・システムです。
技能者の現場履歴や勤務状況、所有資格などを一元管理できるため、業務の効率化はもちろん、国内における技能やスキルの底上げ、人材の確保などさまざまなメリットがあります。
ただし、導入にはネット環境やPC、スマホ、カードリーダーが必要です。
罰則はないものの原則義務化されており優遇措置もあるため、この機会に登録してみてはいかがでしょうか。