投稿日:2024年04月09日/更新日:2024年09月12日

ODA(政府開発援助)とは?活動内容や支援方法、日本の取り組みを解説

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国内の経済が良くないのに、どうして日本は他の国に援助するのだろうか?

ネットのニュースを読むと、こんなコメントをよく見かけます。

ですが、日本が海外援助をする理由の1つに、かつて日本は被援助国だったということがあります。

また、日本が世界銀行から借りていたお金を返済したのが、1990年だということを知っている人もあまりいないでしょう。

そこで、今回はODAとは何か、活動内容や支援方法、日本の取り組みなどについて解説します。

ODA(政府開発援助)とは?

ODA(政府開発援助)とは、先進国の政府や政府機関が開発途上国を支援するために、資金や技術を提供することです。

世界には、政情不安から飢餓や貧困で苦しんだり、適切な医療や教育が受けられないといった国がたくさんあります。

こうした開発途上国を先進国が援助することは、国際社会の発展につながるという考えから、多くの先進国が途上国の支援を行っています。

また、国際強力にはODAだけでなく、OECD(経済開発機構)や、NGO(非政府組織)といった組織もあります。

それぞれの組織について、以下に概略を記載します。

名称

正式名称

活動内容

ODA(政府開発援助) Official Development Assistance 開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動
OECD(経済開発機構) Organization for Economic Co-operation and Development 国際経済全般について協議することを目的とした国際機関
NGO(非政府組織) Non-governmental Organization 開発,貧困,平和,人道,環境などの地球規模の問題に自発的に取り組む非政府非営利組織

ODAのアクターとは?

 

開発途上国で行われるODAは、政府だけでなくさまざまな組織や団体、機関などがかかわっています。

こうしたODAに関するさまざまな主体は、ODAのアクターと呼ばれています。

ODAは、政府がメインとなって行いますが、複数の機関が協力し合って活動を行うことが特徴です。

ODAのアクターと呼ばれる主な団体や機関は以下の通りです。

活動団体や機関

主な役割

政府(海外経済協力会議) ODAの戦略について議論や決定を行う。
関係省庁(外務省、財務省、経済産業省など) 政府が決定した戦略に合った活動内容を、援助する国や地域ごとに企画する。
ODA実施機関(国際協力機構(JICA)) 関係省庁が考えた企画に基づいた具体的な活動を現地で実行する。
企業、NGO、大学、地方自治体など JICAの下でODA事業の開発コンサルタントや、JICAのプロジェクトに参加して支援を行う。

このように、ODAの活動は段階ごとに勧められることから、「ODAの四層構造」といわれています。

ODAの2つの形態

ODAには、大きく分けて2つの支援方法があります。

  • 二国間援助
  • 多国間援助

それぞれについて見ていくことにしましょう。

参照:開発協力の形態|外務省

二国間援助

二国間援助とは、先進国が開発途上国を直接支援する方法です。

二国間援助には、無償で資金を提供する「贈与」と、低金利で資金を貸し付ける「政府貸付」の2種類があります。

多国間援助

多国間援助とは、先進国が国際機関にお金を出すことで、開発途上国を支援する方法です。

ここでいう国際機関とは、ユニセフなどの国連機関や、世界銀行といった銀行機関を指します。

二国間援助における支援方法の3軸

本章では、二国間援助の具体的な支援方法を紹介します。主な3つの軸は以下のとおりです。

  • 技術協力
  • 有償資金協力
  • 無償資金協力

それぞれについて見ていくことにしましょう。

技術協力

開発途上国の課題を現地の人が解決するという目的で、スタッフを派遣して人材の育成や技術指導を行います。

技術協力には、スタッフを派遣するだけでなく、現地のスタッフを招いて技術研修を行う、あるいは現地で技術研修を行うケースもあります。

有償資金協力

無利子に近いような金利で、先進国が開発途上国にお金を貸すことを、有償資金協力といいます。

金利や期限などの条件が緩やかなため、開発途上国の負担が少ないことが特徴です。

また、返還の義務があることから、途上国の持続的な開発を促す効果もあるといわれています。

無償資金協力

返還義務のない資金を提供することで、開発途上国の問題に対して素早く対応することを、無償資金協力といいます。

開発途上国の発展のために、無償で必要な施設を建てたり、インフラの整備や資源の確保を行ったりすることが該当します。

道路や橋などといった社会基盤の整備や、安全な水を確保するための給水設備の整備などが特徴です。

多国間援助における主な支援方法

多国間援助における主な支援方法については、以下のとおりです。

  • 国連児童基金(UNICEF)や国連開発計画(UNDP)への拠出・出資
  • 世界銀行などへの拠出・出資など

国際機関への拠出や出資は、開発途上国への援助だけでなく、援助する国の国際社会への貢献度がどれくらいあるかを示すことにもなります。

こうした国際社会への貢献度は、毎年発表される世界のODAランキングで確認できます。

最新の世界主要国のODA(政府開発援助)拠出額 国際比較統計・ランキング(2022年)では、1位がアメリカ、次いでドイツ、EU、フランスと続き、日本は5位にランクインしています。

参照:ODA(政府開発援助)拠出額 国別ランキング・推移|GLOBALNOTE

ODAの具体的な5つの活動

本章では、ODAの具体的な活用を紹介します。

主な活動は以下の5つです。

  • 保険・医療
  • インフラの整備
  • 人間の安全保障
  • 教育環境の整備
  • 女性が活躍できる社会づくり

それぞれ解説します。

保険・医療

人が健康的な暮らしを送るのに欠かせないのが、保険や医療のサービスです。

開発途上国では、保険や医療のサービスを十分に受けることのできない人がたくさんいることから、早急な対策と支援が必要といえます。

具体的な支援内容としては以下のようなものがあります。

  • 医療施設の建設や整備
  • 予防接種の体制の整備
  • 医療従事者の育成など

インフラの整備

開発途上国が持続的に発展するためには、インフラの整備は欠かせません。

インフラが十分に整備されていないと、国の持続的な発展だけでなく、そこで暮らす人々が貧困から抜けだすことも困難です。

ODAでは、以下のようなインフラ整備を行っています。

  • 井戸や上下水道の整備
  • 空港や鉄道網の整備
  • インターネットなどの通信環境の整備

インフラの整備には多額の初期投資が必要になるため、ODAによる資金援助は必要不可欠なものといえるでしょう。

人間の安全保障

人間の安全保障とは、人々をさまざまな脅威から守り、自由と尊厳をもって生きることができるようにすることです。

そのためには、発展途上国が抱える紛争や貧困といった問題解決だけでなく、医療サービスやインフラの整備といったものも必要になってきます。

なお、1999年に日本が提唱したことで、国連に「人間の安全保障基金」が設置されました。

教育環境の整備

開発途上国では、教育環境が整備されていないことによる「教育格差」も問題となっています。

それと並行して、質の高い教育の確保が求められているのです。

ODAの具体的な取り組みとしては、以下のようなものがあります。

  • 教員養成大学の設立
  • 初等教育のカリキュラムの創設
  • 教師に対する特別支援教育強化プロジェクトの実施

女性が活躍できる社会づくり

多くの発展途上国では、女性の権利が認められていないことが指摘されています。

社会の発展だけでなく、人権保障の観点からも、女性が活躍できる社会を作ることはとても重要です。

そこで、ODAでは以下のような取り組みを行っています。

  • 人身取引被害者支援
  • 女性起業家支援事業
  • 女性センターの活性化を支援

日本のODAの取り組み

冒頭でも書いたように、日本はかつて被援助国でした

世界中からの援助や支援によって、経済復興を遂げたのです。

その日本の国際協力は、1954年にコロンボ・プランに加盟したことがはじまりです。

そうしたことから、日本は1987年にコロンボ・プランに加盟した10月6日を「国際協力の日」と定めました。

コロンボ・プランに加盟した日本政府は、開発途上国からの研修員の受け入れや、専門家を派遣するといった技術協力を開始。

また、第二次世界大戦の戦後賠償として、ミャンマーやフィリピン、インドネシア、ベトナムとの間で賠償協定が結ばれました。

さらに、カンボジアやラオス、タイ、マレーシア、シンガポール、韓国、ミクロネシアへは、無償資金援助などが行われたのです。

このように、当初の日本政府による国際協力は、戦後賠償としての意味合いが強いことからアジアが中心でした。

しかし、現在ではアジアだけでなく、世界中に活動の場をひろげて国際援助を行ってきたことから、1991年から10年間日本は世界第1位の援助国となったのです。

これまでに日本が行ってきたODAの主な実績としては、以下のようなものがあります。

国際援助の主な実績

活動内容

デリー高速輸送システム建設事業 インドの首都デリーに地下鉄および高架鉄道3路線(約58.6キロメートル)の建設を支援
ベトナム日本人材協力センター・ビジネス人材育成プロジェクト ベトナム日本人材協力センター・プロジェクトのビジネスコースの運営・管理強化ならびに、組織の運営・管理体制強化に関する協力
女性の生活向上のための女性センター活性化支援プロジェクトフェーズ2 女性開発センター(WDC)において、村落部の女性のために識字教育や職業訓練を実施

参考:日本の開発協力:外務省 国際協力局

こうした支援内容を見ても分かるように、日本が行ってきたODAは、その国の実情に合わせた支援を行ってきたというのが分かるでしょう。

まとめ

今回はODAについてだけでなく、活動内容や支援方法、日本の取り組みなどについて紹介しました。

ODAは、先進国が発展途上国を支援するだけでなく、国際社会への貢献のために、資金や技術などを援助するということが、今回の記事でよく分かったかと思います。

また、戦後の復興を経て日本が経済大国になれたのも、戦後に世界中からの援助や支援があったためです。

こうした支援によって日本が発展を遂げることができたことを知るのは、ODAを理解する上でも大切なことではないでしょうか。

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