投稿日:2024年05月28日/更新日:2024年05月28日

働き方改革とは?取り組み方や3つの柱の意味を解説|建設業の2024年問題との関係

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ニュースなどで「働き方改革」という言葉を耳にしつつも、どういう取り組みなのか詳しく知らない方もいるのではないでしょうか?

働き方改革は「働き過ぎ」と言われている日本人の労働観を変える、重要な取り組みです。

今回は、働き方改革について詳しく解説します。

また、建設業の2024年問題との関係についても、深堀りしていきましょう。

働き方改革とは?

働き方改革とは「働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会」を実現するための改革のことで「一億総活躍社会」に向けた、新しい取り組みです。

引用:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて|厚生労働省

働き方改革に関する政府の動き

2016年9月に「働き方改革実現会議」が設置されました。

2017年3月には「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」など、9分野における具体的な方向性を示した「働き方改革実行計画」が発表されています。

そして、2018年6月には「働き方改革法案」が成立し、2019年4月から「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」が順次施行

このように、働き方改革は政府がリードしている国全体の取り組みであり、企業や働く人々、そして社会全体の今後に関わる大きな試みといえるでしょう。

順次施行される「働き方改革関連法」とは

上記の通り、2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行されています。

働き方改革関連法とは、既存していた労働関連の法律に加えられた改正の総称です。

  • 労働基準法
  • 労働時間等設定改善法
  • 労働安全衛生法
  • じん肺法
  • パートタイム・有期雇用労働法
  • 労働者派遣法
  • 労働契約法
  • 雇用対策法

また、働き方改革関連法の施行による変更点として、以下の11のポイントが挙げられます。

  • 時間外労働の上限規制の導入
  • 勤務間インターバル制度の導入促進
  • 年5日の年次有給休暇の取得
  • 月60時間超の残業の割増賃金率引き上げ
  • 労働時間の客観的な把握
  • 「フレックスタイム制」の清算期間延長
  • 高度プロフェッショナル制度の導入
  • 産業医・産業保健機能の強化
  • 不合理な待遇差の禁止
  • 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
  • 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争手続(行政ADR)の規定の整備

働き方改革が必要とされている背景

働き方改革が必要とされる背景には、大きく2つの根本的な理由があります。

  • 少子高齢化による生産年齢人口の減少
  • 育児や介護との両立など働き方のニーズに応える

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

少子高齢化による生産年齢の低減

働き方改革が必要とされる理由の1つに、少子高齢化による生産年齢(15歳以上65歳未満)人口の低減が挙げられます。

日本国内の生産年齢人口は、1995年の国勢調査における8,716万人をピークに、年々減少を続けています。

また、内閣府が公示している「高齢化の推移と将来推計(平成5年推計)」では、2035年には7,000万人を下回り、2070年には4,535万人まで減少すると予想しています。

日本の労働力のメインとなる生産年齢人口がさらに低減する見通しから、日本全体の生産力や国力の低下が危惧されています。

そのため、働き方改革の需要が年々高まっているのです。

参照:高齢化の推移と将来推計(令和5年推計)|内閣府

育児や介護を両立させるための働き方の選択肢

働き方の種類が多様化している点も、働き方改革が必要とされる理由のひとつです。

現在、日本では共働き世帯および単身世帯(世帯主が一人の世帯)の割合が増加傾向にあります。

1990年代の中頃に共働き世帯の数が専業主婦世帯の数を覆し、共働き世帯の数と専業主婦世帯の数は年々大きく差を広げています。

また、年々増え続けている未婚率の増加や核家族化の影響を受け、単身世帯も増加しつつあります。

そして家事や育児・介護、仕事を両立できる、以下のフレキシブルな働き方への選択肢が挙げられています。

  • テレワーク
  • 育児休暇
  • 時短勤務
  • ダイバーシティ
  • フレックス
  • 副業・兼業を認める体制づくり

ウェルビーイングとは

働き方改革と関係性が深い概念として「ウェルビーイング(well-being)」という考え方があります。

ウェルビーイングとは、「肉体的・精神的・社会的に満たされた状態」という意味を表します。

主に社会福祉や医療などのさまざまな現場で採用されていましたが、近年では企業の在り方や働き方を考えるうえでも重要なコンセプトとして注目を集めています。

前述の通り、日本は深刻な労働力不足に直面しており、多様な働き方への対応や、人材が定着しやすい環境づくりが企業に求められています。

そうしたなかで、従業員のウェルビーイングを重視する企業が増えてきているのです。

従業員にとって「肉体的・精神的・社会的に満たされた状態」を目指すウェルビーイングの取り組みと、「働く人々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会」を目指す働き方改革は、互いに深く関係していると言えるでしょう。

働き方改革の3つの課題

働き方改革を実現するためには、解消すべき以下の3つの課題があります。

  • 長時間労働の是正
  • 正規・非正規の格差解消
  • 高齢者の就労促進

それぞれの課題について解説します。

長時間労働の更正

働き方改革を実現するために、解消しなければならない課題の1として、長時間労働が挙げられます。

日本では「遅くまで残業をし、休むことなく働くこと」が当然という風潮があり、これまで長時間労働が常態化していました。

しかし、長時間労働が常態化した環境では、プレッシャーを感じてしまい、働き手にとって出産・育児や介護との両立が難しくなります。

場合によっては、重大な健康被害を招くリスクもあるでしょう。

より多くの人々がワーク・ライフ・バランスを実現しつつ、健康的に働ける環境を作るためには、長時間労働の是正は必要不可欠です。

正規・非正規の処遇改善

正規・非正規の処遇改善もまた、働き方改革の課題のひとつとして懸念しています。

日本国内における正規・非正規社員の賃金格差は、欧米諸国の水準と比較をした際に大きいと言われています。

こうした雇用形態の違いによる処遇は、人々の就労意欲やコストパフォーマンスの低下を招きかねません。

働き方改革によって、正規・非正規という雇用形態の処遇が改善されることで、働く意欲がある人々が自発的に働き方を選べるようになります。

労働への意欲や生産性の向上にもつながるでしょう。

高齢者による就労の創出

深刻な労働力不足を解消するためには、生産年齢人口に含まれない高齢者による就労の創出も大きな課題となります。

内閣府が公示している「令和5年版高齢社会白書」によると、現在働いている60歳以上の人の約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答しました。

「70歳くらいまで」もしくは「それ以上」という回答も合わせると、約9割が高齢期以降も就業したいと意欲的に考えていることが分かります。

このような就業意欲を持つ高齢者が働ける環境をメンテナンスしていくことも、働き方改革を実現するうえで必要になるでしょう。

参照:令和5年版高齢社会白書|内閣府

業務の効率を上げるために必要なこと

パフォーマンスの向上を実現するには、これまで以上の成果を生み出すことが必須です。

理屈から考えると、労働力が不足している現状は労働投入量が削減できているため、パフォーマンスの向上が可能という結論になります。

しかし、以下のリスクが生じて、持続性のあるパフォーマンスの向上が難しいとの声もあります。

  • 1人当たりの業務量の増大
  • 1人当たりの労働時間の増加

そのため、労働投入量は抑えて、条件をすべて実現するためには「業務の効率化」しか方法はありません。

  • 1人当たりの業務量を増やさない
  • 1人当たりの労働時間を増やさない

ワークフローシステムで働き方改革を推奨

「働き方改革を取り入れてみたいけれど、なにから始めればいいのか分からない」という悩みを持つ企業もあるのではないでしょうか。

その際は、ワークフローシステムの採用からチャレンジするのもひとつの手段です。

ワークフローシステムとは、社内で行われる各種申請や稟議などの手続き業務を電子化するシステムをさし、別名「電子決裁システム」とも呼ばれています。

ワークフローシステムでは、以下の3つのポイントが働き方改革に有益な理由となります。

  • 柔軟な働き方の実現化を目指す
  • 業務効率・生産性の向上
  • 働きやすい環境のメンテナンス

それぞれ解説します。

柔軟な働き方の実現化を目指す

ワークフローシステムが働き方改革促進に役立つ理由として、時間や場所に縛られない働き方が挙げられます。

企業では、日々さまざまな申請手続きが行われています。

紙ベースの書類で業務が行われていると、時間や場所による制限が大きいため、さまざまな働き方を妨げてしまう原因になりかねません。

そのため、ワークフローシステムを導入すると、時間や場所に縛られることなく業務手続きを行うことができ、快適さを体感できます。

テレワークをはじめとした柔軟な働き方の実現につなげることができるでしょう。

務効率・生産性の向上

ワークフローシステムの導入は、業務効率の改善や生産性向上にもつながります。

紙で行われる業務手続きには、記入ミスや回覧待ちといった多くの非効率が潜んでいるのです。

ワークフローシステムで業務手続きを電子化することにより、書類作成や申請・承認業務などのコスト削減にもつながります。

そのため、生産性の向上や労働時間の削減につなげることができるでしょう。

働きやすい環境のメンテナンス

ワークフローシステムの導入は、業務の流れだけでなく、社内ルールやマニュアルを見直すきっかけとなります。

上記に挙げた「柔軟な働き方の実現を目指す」「業務効率・生産性の向上」に加え、社内ルール・マニュアルが改善されると、労働者が働きやすい環境のメンテナンスを進めることができるでしょう。

建設業界の「2024年問題」

令和5年に国土交通省によって発表された「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、建設業界の就業人口は平成9年の685万人をピークに低減が続き、令和4年時点では479万人となっています。

また、同報告によると、建設業の就業者は他産業の就業者よりも高齢化が進行しているという声があります。

年間の総実労働時間については、全産業と比べて90時間も長いことが分かりました。

20年程前と比べて、全産業では約90時間減少しているものの、建設業は約50時間減少と減少幅が小さいです。

参照:最近の建設業を巡る状況について【報告】|国土交通省

上記のような理由に加えて

  • 工事の受注時期に差がある
  • その日の天候によって業務が不安定になる

などの事情も考慮しています。

建設業では時間外労働の上限規制について2024年3月31日まで5年間の猶予が設けられましたが、その猶予期間が終了しています。

2024年4月以降は災害の復旧・復興の事業を除き時間外労働の上限は、原則として「月45時間・年360時間」、臨時的かつ特別な事情があって労使の合意がある場合でも「年720時間以内」「複数月平均80時間以内」「月100時間未満」などの規制が罰則付きで適用されます。

そのため建設業界では、これまでの残業・長時間労働を念頭においた過酷な労働環境から打開を目指し、パフォーマンスを高めていく必要性があるでしょう。

働き方改革を取り入れて心身の健康を守ろう

働き方改革では、長時間労働の見直しや正規・非正規の処遇改善、高齢者の就労の創出など、多くのメリットがあります。

まさに働くすべての方々に必要不可欠な取り組みです。

また、建設業界の2024年問題では、働き方改革を取り入れることにより、人手不足や時間外労働の解消にもつながるでしょう。

ぜひ、働き方改革を見直してみてはいかがでしょうか。

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