投稿日:2024年06月20日/更新日:2024年06月20日

【2024年版】耐震等級3とは?大地震に強い家で快適な住まいを手に入れよう

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地震大国である日本では、年間に1,000回以上、多い年には10,000回以上の地震が発生しています。

2024年元旦には、最大震度7を観測した「能登半島地震」が起きたことも記憶に新しいのではないでしょうか。

そんな日本に住むうえで、住宅の耐震性は安心して生活するための重要なポイントです。

本記事では、耐震等級3の住宅を建てるメリット・デメリットをはじめ、習得するための費用や耐震等級3を標準仕様としているハウスメーカーなどを紹介します。

地震に負けない家で安心して暮らしたい人は、ぜひ参考にしてください。

耐震等級とは

耐震等級とは、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」に基づいて制定されている基準で、建物の耐震性能を示す指標です。

参照:住宅の品質確保の促進等に関する法律|国土交通省

目視ではわかりにくい耐震性能を、等級1〜3の3つのランクに分類し、数字が大きくなるほど地震に強い住宅として評価されます。

耐震等級の取得はあくまでも任意であり、指定の機関で審査を受け「住宅性能評価書」を取得することによってのみ認定される仕組みです。

「住宅性能評価書」とは、法律に基づき、住宅の性能を評価し表示するための基準や手続きが定められた制度で「家の通知表」のようなものです。

耐震等級は3段階!

耐震等級は、建築物の地震に対する強さを等級1〜等級3でレベル分けしたものです。

「建築基準法」では、すべての建物に耐震等級1を満たすことが求められています

それぞれ1~3の耐震等級を解説します。

耐震等級1

耐震等級の中で一番低い等級です。

震度5程度の地震では損壊せず、震度6強程度でも即時に倒壊・崩壊することはありません。

しかし、大規模な地震に見舞われた際、大きな修繕や住み替えが必要になる可能性が高いのが耐震等級1です。

耐震等級1と認定されるには、2000年に施行された現行の耐震基準をクリアしていなければなりません。

また、1981年6月1日に施行された新耐震基準で建てられた家でも、2000年5月31日以前に建築確認された家は、耐震等級1とはみなされないため注意が必要です。

ちなみに、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では、耐震等級1、耐震等級2の住宅が倒壊している事例が多くありました。

そのため、耐震等級1では耐震性に不安があるといえるでしょう。

耐震等級2

耐震等級2は、耐震等級1で想定している1.25倍の耐震性能がある建物です。

以下の工夫をして、建物の強度を高めています。

  • 耐力壁の筋交い数を増やす
  • 耐力壁を長くする
  • 床の剛性(変形に耐える力)を高める

耐震等級2は、避難場所に指定される学校や病院などの公共施設や長期優良住宅が備えるべき最低限の等級です。

長期優良住宅とは、国が定める「長期優良住宅認定制度」により、長期にわたり安全・快適に暮らすための措置が講じられていると認定された家を指します。

ちなみに、耐震等級2の建物は、2016年の熊本地震で倒壊した事例が確認されました。

耐震等級3

耐震等級3は、耐震等級の中で最も高い耐震性能を持つ建物で、耐震等級1の1.5倍以上の耐震性能を持っています。

数百年に一度の大きな地震を受けても軽微な修繕を行えば住み続けられる想定で建てられています。

災害発生時に救護支援や復興拠点となる消防署や警察署などは、倒壊・崩落せずに機能できる高い耐震性が求められるため、耐震等級3でなければなりません。

耐震等級3の建物は、東日本大震災や2度の大きな揺れが起こった熊本地震でも倒壊しませんでした。

参照:熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会|国土技術政策総合研究所

耐震等級を決める4つのポイント

安心して暮らせる家を建てるには、できるだけ耐震性を上げたいと考える人も多いでしょう。

耐震等級を決めるポイントは以下の4つです。

  • 建物の重さ
  • 耐力壁の多さ
  • 耐力壁や耐震金物の配置場所
  • 床の耐震性能

それぞれについて詳しく紹介します。

建物の重さ

1つめのポイントは、建物自体の重さです。

建物や屋根が軽いほど地震の揺れに対して振幅が小さくなるため、耐震性が高くなります

そのため、軽量な木造住宅は、耐震性能を強化しやすいといわれています。

耐震性を強化するのであれば、瓦屋根ではなく軽いスレートやガルバリウム鋼板の屋根材が適しています。

また、モルタル外壁ではなくサイディングを選ぶなどして、建物の軽量化を図ることがポイントです。

耐力壁の多さ

2つめは、耐力壁の多さです。

耐力壁とは、地震や風など横からの力に抵抗できる壁で、通常の壁と違って筋交いや構造用面材などを入れて強度を高めています。

この耐力壁の数が増えるほど、地震発生時も住宅全体をしっかり支えられます

また、建築基準法で定められている耐力壁の量は、現行の耐震基準における最低ラインにすぎません。地震に備えるためにも、耐力壁の量にはしっかりと注目すべきです。

耐力壁や耐震金物の配置場所

3つめは、耐力壁や耐震金物の配置がバランスよく設計されているかです。

耐力壁は、耐力壁が一部分に集中しているなど、配置バランスが悪い場合その効力は期待できません。

地震発生時に耐力壁の設置位置にかたよりがあれば、耐力壁が少ない部分に負荷がかかってしまいます。

また、建物の接合部の固定に用いる金物(耐震金物)のバランスも欠かせないポイントです。

地震で建物が横に揺れた場合は、耐力壁の両端の柱に強い力が加わります。

柱と土台がしっかりつながれていなければ、柱が引き抜けて倒壊の原因になりかねません。

そこで、2000年の法改正では、柱と土台を固定する「ホールダウン金物」の設置を義務化し、柱の引き抜きを防止しました。

また、柱にかかる引き抜き力を計算し、適切な金物の位置や数を割り出す「N値計算」という方法がとられています。

床の耐震性能

耐震等級2以上になると、床の強度も評価対象です。

耐震等級の認定検査では、床組みの工法や厚みから床の強度を割り出し、耐震等級2もしくは3の基準と合致しているか確認しています。

壁と床はつながっているため、大きな地震が起きても、耐力壁がしっかりふんばれるよう強度のある床が求められます。

耐震等級3の住宅を建てるメリット4つ

耐震等級3の家は、等級1や2よりも地震に強い家です。

耐震等級3の住宅を建てるメリットは、主に以下の4つです。

  • 大地震で受ける影響が少ない
  • 住宅ローンの金利優遇制度がある
  • 地震保険の割引率が大きくなる
  • 資産価値が高いため、高値で売却できる可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

大地震で受ける損害が少ない

耐震等級3の家は、耐震等級1や2の家と比べ、地震によって受けるダメージが小さくなります。

震度6強程度の地震が起きた場合、耐震等級1だと倒壊や崩落を防いで自らの命は守れても、建物の損傷が大きければ建て替えが必要になるでしょう。

しかし、耐震等級3の家なら大きな損傷は受けないため、そのまま住み続けられる可能性も高くなります。

長く住み続けられる住宅は、資産としても維持しやすくなります

また、災害時に避難生活を送るリスクを減らせれば、家族の不安を軽減してメンタルの安定にもつながるでしょう。

住宅ローンの金利優遇制度がある

耐震等級3の取得は、住宅ローンの金利優遇制度が利用可能になります。

質の高い住宅を新築する際に利用できる「フラット35S」では、耐震等級3と2で金利引き下げ幅が異なり0.25%〜0.5%も金利が下がります。

参照:フラット35S(※2025年3月31日までの申込受付分に適用)

つまり、3,000万円を35年返済した場合、フラット35SのAプランはフラット35と比較して支払い総額が70万円近くもおさえられます。

ただし、借入額や借入のタイミングで異なる点には注意が必要です。

地震保険の割引率が大きくなる

地震保険には、建物の免震・耐震性能に応じた割引制度があり、耐震等級が高いほど割引率がアップします。

耐震等級3の住宅なら、保険料が50%も割引されます。

保険料は住んでからずっと支払い続ける費用のため、割引によって負担が大きく軽減されるでしょう。

ただし、品格法に基づく登録住宅性能評価機関によって耐震等級が証明された書類を提出しなければ割引は適用されません。

資産価値が高いため、高値で売却できる可能性がある

耐震等級3の認定を受けた家は耐震性の高さが証明されています。

そのため、資産価値が評価され売却時に高く売れるかもしれません

また、売却時にも状態が良い可能性が高くなります。

耐震等級3の住宅を建てるデメリット

耐震等級3の住宅は、地震に対してより大きな安心を得られるため、メリットが多くあります。

しかし、デメリットもあるので注意が必要です。

主なデメリットは次の5つです。

  • 建築費用が高額になる
  • 性能評価や申請にコストがかかる
  • 自由な間取りが選択しにくい
  • 必ず倒壊や破損を防げるわけではない
  • 依頼の段階でリクエストする必要があり、後から変更はできない

それぞれについて詳しく解説します。

1.建築費用が高額になる

耐震等級を上げると、使用する建築材料が増えるために物理的なコストが上がります

また、設計・施工の手間と時間がかかるため、人件費も上がるでしょう。

また、耐震等級3を取得するためには第三者機関による調査が必須です。

それにより全体の工期が長くなるケースも考えられます。

2.性能評価や申請にコストがかかる

耐震等級の認定を受けるには、定められた基準をクリアする住宅を建築し、国土交通大臣の認可を受けた第三者評価機関で住宅の性能を評価される必要があります。

新築の場合は住宅建築前にハウスメーカーや工務店に、希望する耐震等級と評価を受ける希望を伝えましょう。

評価費用と申請費用を合わせて10〜40万円の費用がハウスメーカー・工務店から請求されます。

3.自由な間取りが選択しにくい

耐震等級を満たすには、前述した通り、耐力壁の量や配置、柱の位置などのバランスが重要でした。

そのため、希望通りの間取りが作れない可能性があります。

つまり、耐震等級3の注文住宅を建てる場合には、安全とデザインのバランスを考えなければなりません。

しかし、最近では耐震技術が発達し、一定の自由な間取りと高い耐震性の両立が可能になりつつあります。

4.必ず倒壊や破損を防げるわけではない

耐震等級3を取得しても、必ず倒壊や破損を防げるとは限りません

耐震等級3は最大限の地震への備えではありますが、自然災害は予想外な事態が起こりうるものであり、どんな備えであっても100%はないと知っておきましょう。

5.依頼の段階でリクエストする必要があり、後から変更はできない

耐震等級は任意の制度です。

そのため、希望する場合はハウスメーカーや設計事務所に依頼する段階で、明確な意思表示が必要です。

あとになって「耐震等級3の認定を受けたい」と希望した場合、工事をすべてやり直さなければならない可能性もあります。

また、進捗によっては耐震等級3を満たす設計に変更できない場合もあるため、早めに相談をしましょう。

耐震等級3を取得するために必要な費用

耐震等級3の認定を受けるためには、評価を行う機関へ評価を依頼する必要があります。

評価機関への依頼費そのものは10〜20万円程度です。

しかし、依頼費のほかにも住宅会社の設計費や作図費用、耐震部材の調達費などが加算されます。

一般的な規模の住宅であれば20〜40万円程度が相場です。

具体的な費用は建築物の規模や設計内容、住宅会社によって変わるため、ハウスメーカーや設計事務所に確認してください。

また、耐震等級の認定は任意であるため、住宅性能評価書が不要なら費用をかけて審査を受ける必要はないでしょう。

耐震等級3と耐震等級3相当の違い

耐震等級3と似ている用語に「耐震等級3相当」があります。

耐震等級3相当の家とは「住宅性能評価機関への申請はしていないが、耐震等級3と同等の耐震性を持つ物件」を指します。

先述した通り、耐震等級の認定には認定機関による審査のために数十万円の費用がかかります。

そのため、少しでも住宅コストを下げようと、あえて耐震等級の審査を受けずに安く住宅を提供することを選ぶケースもあります。

ただし、認定を受けてない場合は、地震保険の割引などのメリットは受けられません

耐震等級3を標準仕様としているハウスメーカー

最後に、耐震等級3を標準仕様としているハウスメーカーを紹介します。

  • 一条工務店
  • セキスイハイム
  • ミサワホーム
  • ダイワハウス
  • 三井ホーム

耐震等級3を標準仕様としているハウスメーカーであれば、高い耐震性を持つマイホームが建てられるでしょう。

耐震性にこだわって住宅を建てるときには、参考にしてください。

1.一条工務店

まるで災害から免れたかのように暮らせる住宅を提案しているハウスメーカーが、一条工務店です。

また、耐震性能には特にこだわっており、耐震等級3の強度を超えた、建築基準法の2倍の強度を実現しています。

この強い耐震性能で、大地震が起こっても損傷をおさえ、そのまま暮らせる住宅を目指しました。

一条工務店では、社内に地盤調査研究所を設けて独自研究を行う一方で、地盤の強度に合った基礎を選んで建築し、建物のダメージをおさえる工夫をしています。

2.セキスイハイム

セキスイハイムでは、地震に強いボックスラーメン構造を採用しています。

ボックスラーメン構造では柱と梁を溶接するため、揺れが加わっても構造がゆがみません。

ボックスラーメン構造の建物を支える基礎部分には、ベタ基礎を採用しています。

ベタ基礎は面で支えるため、地盤への負荷が小さく耐久性にも優れているのが特徴です。

また、独自の耐震システムである「GAIASS」により、地震の力を受け流して揺れを軽減します。

セキスイハイムでは、過去の実際の地震の振動周期の再現し、建物や内装に与える影響を調べ、さらなる技術力の向上に活かしています。

3.ミサワホーム

巨大地震だけでなく余震も含めた耐震対策を実施しているのが、ミサワホームです。

マンションやビルなどの建物では、揺れを軽減する免震ゴムを組み込むケースが多くあります。

しかし、免震ゴムはコストが高く、戸建て住宅に組み込むには制約が多いため、適切とはいいきれません。

ミサワホームでは、高い耐震性能を持つ住宅に制震装置を組み込み、コストを下げながら、揺れをおさえる住宅を実現しました。

4.ダイワハウス

ダイワハウスでは、地震に強いXEVOΣ(ジーヴォシグマ)を提供しています。

XEVOΣは地震エネルギーを吸収するオリジナルの耐力壁を搭載しており、震度7レベルの地震が繰り返し発生しても構造体に損傷が起こりにくいのが特徴です。

また、縦の力に強い柱と梁により建物の重みによるダメージをおさえ、オリジナルの耐力壁で、地震だけでなく台風の横の力も受け止めます。

5.三井ホーム

大地震に耐える住宅を実現するため、基礎にこだわっているのが三井ホームです。

面で住宅を支えるベタ基礎を採用し、従来の2倍の鉄筋量を投入しています。

それにより、揺れても倒壊しない住宅を目指しています

また、外力に強い三角形を組み合わせた独自のトラス構造で、横揺れにも耐えられる住宅を実現しました。

まとめ

本記事では、耐震等級3の住宅を建てるメリット・デメリットをはじめ、習得するための費用や耐震等級3を標準仕様としているハウスメーカーなどを紹介しました。

今後も日本では、首都直下型地震や南海トラフ地震などの発生が懸念されています。

このほかの地域でも、被害地震が起きるかもしれません。

耐震等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」に基づいて定められた住宅性能表示の等級です。

耐震等級3の住宅は、震度7の地震に複数回耐えたデータも存在しています。

また、耐震等級3は耐震性の高さ以外にも、地震保険の割引が受けられるなどのメリットがあります。

一方でコストがかかったり、間取りに制限があったりする点には注意が必要です。

耐震等級3は法律上の義務ではありません。

地震に強い家を建てる場合は、耐震性強化に取り組んでいるハウスメーカーを選び、よく相談して検討しましょう。

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