投稿日:2024年11月12日/更新日:2024年11月12日
建築業でもSDGsの取組みは必須?メリットや取り組み事例を紹介
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昨今、環境に関する取り組みが各所でみられるようになりました。
その中で、特に注目を集めているのが「SDGs」や「CSR」です。
SDGsは世界的に取り組まれており、対応しないと取り残されてしまう印象があるのではないでしょうか。
実際に、建築業でもSDGsへの取り組みを実施している企業も多いです。
本記事では、SDGsの概要や取り組むうえでのメリット、取り組み事例を解説します。
SDGsとは?
SDGsとは、2030年を期限として持続可能でより良い世界を目指す国際目標となります。
SDGsは、17のゴールと169のターゲットから構成されており、地球上の誰1人取り残さないことを誓っているのが特徴です。
SDGsは、発展途上国だけでなく先進国も率先して取り組むべきユニバーサルなものです。
日本としても、その理念に基づきSDGsに積極的に取り組んでいる特徴があります。
SDGsに関連する「CSR」とは?
SDGsと関連したワードである「CSR」とは、企業が社会や環境、ステークホルダーに対して責任ある行動を求める考え方。
日本語では「企業の社会的責任」と訳されます。
- 環境に配慮した商品の開発や生産体制の構築
- 法令順守や情報開示を通じた透明性の確保
- 自然保護や社会貢献のための活動
など、企業に求められています。
建築業界とSDGsとの関係性
SDGsはグローバルな取り組みであり、日本の企業も多く採用しています。
- 目標7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
- 目標11 住み続けられるまちづくりを
- 目標12 つくる責任、使う責任
各ゴールと建築業界との関係性について、詳しくみていきましょう。
目標7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
目標7では、「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という目標が掲げられています。
この目標を達成するために、エネルギーのインフラ確保やクリーンな再生エネルギーへの移行が要求されています。
たとえば、太陽光発電などの再生可能エネルギーの積極的な導入は、目標7の達成には欠かせません。
さらに、省エネルギーな断熱性能の高い建材や設計などを採り入れることでも、目標7の達成に近づけます。
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標11では、「住み続けられるまちづくりを」が掲げられています。
都市や地方の持続可能な発展を促進することで、安全で快適な生活環境の提供が建築業界にも求められているのです。
さらに、適切な防災対策やインフラの整備が要求されており、建築業にも密接に関連する目標です。
特に、日本は地震などの災害が多い国である以上、防災対策が特に重視されています。
そこで、地震の揺れに強い住居を提供したり、大賀は災害が発生しても混乱しにくいインフラ整備が重要となります。
目標12 つくる責任、使う責任
目標12では、「つくる責任、使う責任」が掲げられています。
持続可能な開発を実践するだけでなく、これまでの価値を見直す行動も必要となるのです。
リユース・リサイクルはもちろん、建材の無駄をなくしたり、リフォームに力を入れることなどが当たります。
建築業界でSDGsを取り入れる3つのメリット
建築業界でSDGsを取り入れるメリットとして、特に以下が挙げられます。
- 環境保護へ貢献できる
- 企業イメージをアップできる
- 金融機関から融資を受けやすくなる
各メリットについて、詳しく解説します。
環境保護へ貢献できる
SDGsを取り入れることで、資源の消費やCO2排出量を減らせるメリットがあります。
建築業界は、特に環境に関する負荷が高い業界であり、資源の消費を抑えて環境に配慮することが求められているのです。
そこで、SDGsを取り入れて再生可能エネルギーを導入したり、廃棄物の削減を実践したりすることで、環境保護へ貢献できます。
企業イメージをアップできる
SDGsへの取り組みをアピールすれば、環境に配慮している企業であることをアピールできます。
これにより、企業イメージを高められる可能性が魅力的です。
また、持続可能な建材の研究開発などによって、新しいビジネスモデルを創出できるチャンスも生まれます。
金融機関から融資を受けやすくなる
SDGsに取り組めば、金融機関から融資を受けやすくなるという特徴もあります。
日本政策金融公庫では、SDGs融資と呼ばれる商品が用意されています。
これは、SDGsの推進に資する事業に取り組み、民間金融機関との間で協調支援体制が構築されている企業に対して、長期運転資金の融資を受けられる制度です。
新たな融資を得れば、さらに新しい取り組みにチャレンジできるようになり、さらなる事業の拡大が期待できます。
建築業界でSDGsを取り入れる3つのデメリット
建築業界でSDGsを取り入れる場合、少なからずデメリットも存在します。
特に、以下の点がデメリットとなるので、事前に把握しておくことが重要です。
- 具体的な行動に踏み出しにくい
- SDGsウォッシュが発生しやすい
- 毎年の活動報告が必要となる
各デメリットの詳細は、以下のとおりです。
具体的な行動に踏み出しにくい
SDGsの理念はある程度理解できていても、具体的に何をすべきかなのかを把握できず、導入に踏み切れないデメリットがあります。
SDGsには正解がなく、各目標において自社でどのように貢献できるのかを考えなければなりません。
なんとなくSDGsに取り組んだとしても、方向性に悩むケースが多いです。
よって、導入する前に確固たるポリシーを持って臨む必要があります。
SDGsウォッシュが発生しやすい
SDGsに取り組んでも、結果としてSDGsウォッシュになってしまうケースがあります。
SDGsウォッシュとは、SDGsに取り組んでいるようにみえても、実際には実態が伴っていないビジネスのことです。
また、不都合な事実は伝えずに良い情報のみを公表するケースもSDGsウォッシュに該当します。
これは、SDGsについて理解していないため、各目標の真の目的を理解しないで無理矢理紐付けているために発生しているケースがあります。
また、意図的に目標を達成しているように見せかけているケースも少なくありません。
もしSDGsウォッシュであることが発覚すると、ステークホルダーからの信用を一気に失いかねないので注意が必要です。
毎年の活動報告が必要となる
SDGsの宣言や登録団体へ登録した場合、活動の進捗状況について定期的に報告が必要です。
報告書を作成するためには、データの収集や分析が不可欠です。
これに対応するために、多くのリソースを割く必要があります。
また、SDGs登録団体によっては毎年更新申請や審査が必要となるケースもあるのです。
建築業界でSDGsに取り組む際のポイント
建築業界でSDGsに取り組む際には、以下のポイントに注意して対応する必要があります。
- SDGsの目標と建築業界における役割を正しく理解する
- 建築業界として得られるメリットを認識する
- 他社の事例を参考にする
各ポイントについて、詳しく解説します。
SDGsの目標と建築業界における役割を正しく理解する
SDGsの目標と建築業界における役割を、正しく理解したうえでSDGsに取り組みましょう。
建築業界の強みや自社の強みが、SDGsの目標とどのように関連するのかを明確にしないと、結果としてSDGsウォッシュが発生しがちです。
建築業界では、特にインフラや建設物の整備、維持管理を通じて、どのように貢献できるかを想像して、計画的に取り組みましょう。
建築業界として得られるメリットを認識する
自社が得たいメリットが、SDGsに取り組むことでどのように得られるのかをよく認識して取り組むことも重要です。
自社が得たいメリットとしては、以下が挙げられます。
- 企業イメージの向上
- 優秀な人材の確保
- コスト削減
- 新たなビジネスの創出
最初に得たいメリットを明確にして、それを達成するためにどのように取り組むのかを決めるのも良いでしょう。
他社の事例を参考にする
SDGsに取り組もうとしているなかで、具体的にどのような目標にどのように取り組めば良いか悩むことでしょう。
そこで、具体的な行動について他社の事例から学ぶことも重要です。
特に、自社と近い立ち位置の企業が取り組んだ実績があれば、より参考となるでしょう。
建築業界でSDGsに取り組んだ事例7選
SDGsに取り組む際には、同業他社の事例を参考にするのもおすすめです。
ここでは、以下の企業におけるSDGsに取り組んだ事例を紹介します。
- 株式会社大林組
- 清水建設株式会社
- 株式会社竹中工務店
- 大成建設株式会社
- 株式会社熊谷組
- 大和ハウス工業株式会社
- 株式会社LIXIL
各社の取組事例について、詳しくみていきましょう。
株式会社大林組
株式会社大林組は、スーパーゼネコンの1社として有名です。
大林組では17の目標すべてに対応しています。
たとえば、以下の画像は大分自動車道のり面補修工事の際に、実証試験同州された電動化建機の様子です。
受電が難しい建築現場における電動化建機の運用検証で、カーボンニュートラルなど環境への配慮を考慮した取り組みといえるでしょう。
参照:SDGs達成に貢献する取り組み|大林組
参照:高速道路のり面補修工事にて水素活用に関する実証実験を実施|大林組
清水建設株式会社
清水建設株式会社は、医療福祉施設の受注において国内のゼネコンでトップを誇ります。
「シミズと創るSDGs」をテーマとして、以下の目標を立ててSDGsに取り組んでいます。
- お客様とともに持続可能な未来社会の実現を
- 安全・安心でレジリエントな社会の実現
- 健康・快適に暮らせるインクルーシブな社会の実現
- 地球環境に配慮したサステナブルな社会の実現
バリアフリー、ストレスフリーな街づくりを目指し、屋内外音声ナビゲーションを活用したSDGsに取り組んでいるのが特徴です。
スマートフォンで目的地を尋ねると、最適な移動経路や施設、設備の詳細な情報を音声で案内してくれます。
これには、段差などの情報も含まれているので、車椅子の人でもスムーズに移動することが可能です。
株式会社竹中工務店
株式会社竹中工務店では、SDGs BOOKLETを発行して重要課題や取り組み事例などを詳しく紹介しています。
特に、BIMを活用した設計から、施工段階における情報の一元化に力を入れています。
また、設計初期段階におけるリソースを割く、フロントローディングが推進されているのが特徴です。
建設ロボットプラットフォームと呼ばれる、クラウド上で稼働できる基盤システムを開発しました。
IoTやロボットを利用し、事業の抜本的な部分にメスを入れて生産性を向上させる施策もみられます。
大成建設株式会社
大成建設株式会社では、自社のホームページでSDGsに関する情報を多く提供しています。
また、自社でも2018年から市場性を持った建設物のZEB化(再生可能エネルギーを活用し、一次エネルギーコストを実質ゼロにする取り組み)を推進しています。
大成建設株式会社が手がけたJS博多渡辺ビルは、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)のZEB Readyにおいて、最高ランクの認証をテナントオフィスビルの分野で初めて取得しました。
室内環境をキープしつつ一次エネルギーの消費量削減を目指す、ZEBの建造物は今後さらに注目を集めるでしょう。
株式会社熊谷組
株式会社熊谷組では、2019年4月にESG取組方針を策定し、すべての目標に対して対応しています。
参照:E:環境|熊谷組
特に、海外で小中学校の建設を進める「KUMAGAI STAR PROJECT」に、高い注目が集まっています。
学校建設を通じて国際社会貢献を図ることを目的として、ミャンマーで学校建設を担当しました。
そして、3校の学校に対して教室の整備が完了しています。
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社では、貸住宅事業を通じて持続可能な社会の実現を目指しています。
自社内部の取り組みだけでなく、「こどもエコ・ワークショップ」と呼ばれる環境教育プログラムを開催。
参照:はぐエコ(環境教育)|大和ハウス
また、従業員が仕事と子育てを両立できることを目指し、マルチテナント型の大規模物流施設群であるDPL流山を整備。
安全に暮らせるだけでなく、社員のモチベーションアップにも繋がる施策を実施しているのが特徴的です。
ほかにも、東海大学ソーラーカーチームへの協賛などにより再生可能エネルギー技術の普及・啓発に務めています。
株式会社LIXIL
株式会社LIXILでは、LIXIL × SDGs NEXT STAGEをテーマとして元サッカー日本代表の内田篤人氏をアンバサダーに起用し、取り組みなどを社会に広めています。
参照:「住まいから未来へつなぐプロジェクト 2024」と 「みんなにキレイをプロジェクト 2024」の2つのプロジェクト開始|LIXIL
社員に優しい企業を目指し、労働組合を身近に感じてもらうため、機関誌やWebサイトを使ってアピールしているのです。
組合員意識調査「Union Check」では、定期的にアンケートを実施して組合活動の意義を再周知しているなどの取り組みもみられます。
会社側としても、アルミのリサイクルによってCO2の削減を目指すなどの新たなチャレンジを実施しています。
まとめ
建築業界においても、SDGsに取り組む企業が増えています。
また、SDGsに関する取り組みが周知され、イメージアップを図った企業も少なくありません。
ただし、SDGsのことを正しく理解して取り組まないとSDGsウォッシュとなってしまいかねません。
SDGsについて深く理解して、自社がどのような貢献ができるのかを意識してSDGsに取り組みましょう。