投稿日:2025年02月26日/更新日:2025年02月26日

建設業界でもハラスメントに注意!注目されるパタハラとは?概要やポイントを解説

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最近では、さまざまなハラスメントが問題視されています。

以前はパワーハラスメントやセクシャルハラスメントに注目が集まっていましたが、より細分化されてハラスメントを無くそうという動きが見られる状況です。

特に男性に特化したハラスメントの1つに「パタハラ」があります。

本記事では、パタハラの概要とともに、建築業界で注意すべきポイントについて解説します。

パタハラ(パタニティハラスメント)とは?

パタハラ(パタニティハラスメント)とは、男性が育児目的の制度を利用する際に、不当な扱いや嫌がらせを受けるハラスメントのことを指します。

  • 育休を取得したらクビ・減給する
  • 子ども行事や私用による休日がNG
  • 出世をできなくするなど

特に、建設業界では、男性がメインの担い手になっているため、パタハラが蔓延しやすい環境です。

日本において、まだまだ男性の育児に対して偏見が多いのが実情であり、パタハラにより問題が発生するケースも少なくありません。

マタハラとの違いは?

パタハラとマタハラの違いは、性別による違いのみです

意味合いとしては大きな違いはありません。

パタハラのほかにも、マタハラ(女性の妊娠・育休)とケアハラ(介護)を合わせて「ファミリーハラスメント」と総称されています。

実際にあった”パタハラ”の2事例

パタハラは、現実問題としてさまざまなシーンで発生しています。

ここでは、パタハラの事例について詳しく解説します。

育児のための夜間業務制限申請で降格・転籍で提訴

2024年11月、育児のため夜間業務の制限を申請した男性社員が、降格や子会社への転籍などを受けたとして、会社に対し降格・転籍の取り消しや慰謝料計約1390万円を求めて訴えを起こしました。

男性は精神障害を発症し、一時休職を余儀なくされましたが、現在は復職しているということです。

参照:オルゴール堂で“パタハラ”か 育児のため夜間業務の制限申請した男性社員 降格などの取り消し求め提訴|Yahoo!ニュース
参照:「育児したいのなら退職すれば」と社長から「パタハラ」 育児で業務制限求めた男性が提訴|産経新聞

育休取得で左遷、不当な扱いを受け訴訟と和解へ

2019年6月、大手スポーツ用品メーカーに勤務していた男性社員が、育休を取得した後に不当な配置転換をされるハラスメントが発生。

会社側に慰謝料などを求めた訴訟が行われ、2021年3月に和解が成立。

和解内容は公表されていません。

参照:育休復帰直後に出向 アシックスのパタハラ訴訟が和解|朝日新聞

パタハラが発生する2つの要因

パタハラが発生する原因として、主に以下2つの原因が考えられます。

  • 無意識な性別役割意識が存在する
  • 企業側の育休制度の構築や啓蒙が不十分である

各原因の詳細について、解説します。

無意識な性別役割意識が存在する

無意識な性別役割意識により、男性社員が育休を取得することが受け入れ難い風潮にあるのは事実です。

「男性は働く」「女性は育児をする」という価値観がまだ残っていることで、パタハラが発生している傾向にあります。

実際に、厚生労働省が公表している2023(令和5)年度の育児休業(育休)取得率は、女性が84.1%なのに対して男性が30.1%と明らかに低い状況となっています。

企業側の育休制度の構築や啓蒙が不十分である

パタハラに対する法律の整備が進んでいる中で、企業側での対応が遅れているためにパタハラが発生していると見られています。

対応が遅れている企業では、どうしても男性社員は仕事に専念し、女性社員だけが育休を取得するという風潮が生まれがちです。

上司や同僚が男性の育児に対して理解が不足していたり、企業側の支援制度の設計及び運用の徹底がなされていなかったりすることで、パタハラが発生しやすい環境となっているのです。

パタハラが発生した場合の対処法

パタハラが発生した場合、企業側としては適切な対処が要求されます。

もしパタハラが発生した場合の対応ステップは、以下のとおりです。

  • パタハラの事実を確認する
  • パタハラの被害者に対して連絡し配慮する
  • パタハラ加害者への措置を図る
  • パタハラが生じた原因や背景に対して改善する
  • パタハラの再発防止のための対策を図る

それぞれ解説します。

パタハラの事実を確認する

パタハラと思わる事象が発生した場合、最初に当事者にヒアリングし、パタハラが発生したかの事実を確認してください。

被害者からパタハラを受けたとの申告を受けたとしても、実際にはパタハラではない可能性もあります。

よって、慎重にパタハラかどうかの見極めが必要となるのです

パタハラであると判断した場合、ハラスメントがこれ以上発生しないように中止させる措置を図りましょう。

パタハラの被害者に対して連絡し配慮する

パタハラにより、これ以上の被害が発生しないように中止させたら、被害者側に対して連絡しケアを優先して行います。

パタハラによって育休取得が取得できない状況ある場合は、直ちに取得できるような行動を取ってください。

また、加害者からの謝罪や被害者のメンタルケアなどの措置も検討しましょう

パタハラ加害者への措置を図る

パタハラの被害者へのケアと同時に、加害者側への措置も早急に実施します。

具体的には、就業規則や服務規律で定められているハラスメントに関する規定に基づき、相応な処分を行います

パタハラの内容によっては、被害者と加害者との間に立って関係改善に向けたサポートを行うことも重要です。

パタハラが生じた原因や背景に対して改善する

今回発生したパタハラに対して、現象だけを改善しても再発するリスクがあります。

そこで、パタハラが生じた原因や背景についても解消しなければなりません

たとえば、人手が足りないことを理由に育休の取得を認めてもらえない場合、人員を補充したりほかの従業員で業務をカバーしたりできる体制の整備が必要です。

パタハラの再発防止のための対策を図る

パタハラが発生した原因の改善のみならず、再発防止の対応を図ることが重要です。

再発を防止するためには、根本原因を明らかにして改善することが望まれます。

たとえば、育休に対する意識が低いことが原因の場合、育休制度の利用について周知するなどの対応を図りましょう。

また、男性の育休取得を推進する内容のセミナーを開催するなども有効的です

建築業界で企業側が対応したいパタハラ予防策策

建築業界でも、パタハラの問題が発生している傾向にあります。

パタハラは、発生した場合に適切な対処を図ると同時に、発生させない対応も必要です

そこで、企業側が対応したいパタハラ予防策として、以下の対応を図ってください。

  • 育児休暇制度を整備する
  • 就業規則を改正する
  • 育休制度の周知や啓蒙活動を展開する
  • 相談体制を整える
  • 厚生労働省の取り組みに参画する

詳細について解説するので、ぜひ参考にしてパタハラの発生予防を徹底して、従業員が働きやすい環境を整備しましょう。

育児休暇制度を整備する

2022年10月より、育児・介護休業法で産後パパ育休制度や育児休業の分割取得に関する制度が創設されました。

産後パパ育休制度では、産後8週以内に最大で28日の育児休暇を分割し、2回まで取得できる制度となります。

育児休業の分割取得により、従来はまとめて取得が必要だった育児休業について、父母を問わず産後1年以内に分割し2回まで取得可能になりました。

育児休業の分割取得により、短時間勤務も可能となりよりフレキシブルな対応が可能です。

企業側としては、社員のニーズを汲み上げて育児休暇制度を整備することが重要です。

就業規則を改正する

育児休暇制度の見直しが決まったら、就業規則を改正する必要があります。

就業規則は、労働者が事業場において就労するために、順守しなければならない規律です。

就業規則の中で、いかにパタハラに対して強い姿勢を示せるかが重要となります

育休制度の周知や啓蒙活動を展開する

育児制度の整備を進めたとしても、社員が理解していなければ意味がありません

全従業員向けと管理職向けに、それぞれパタハラに対する制度の周知や啓蒙活動を展開することが重要です。

具体的には、全従業員向けには制度の周知を、管理職向けには育児休業の推進及び固定観念がある場合は認識を改めてもらうなどの対応を図りましょう。

相談体制を整える

ハラスメントが相談できる体制は、多くの企業で採り入れているものです。

そこで、パタハラに関する相談体制も合わせて整備することが重要です。

相談体制を整える場合、どこに相談窓口を設置するのか、相談した場合のプライバシーの保護や不利益な扱いをしないための仕組みづくりが重要です。

厚生労働省の取り組みに参画する

パタハラを予防するためには、厚労省の育MENプロジェクトなどに参画するのも良いでしょう。

育MENプロジェクトでは、働きながら安心して子どもを産み育てられる労働環境の整備を推進することが目の活動です。

育MENプロジェクトの公式サイトを情報発信の起点として、さまざまな活動を展開しています。

地域発信型で、イクメンの普及活動をサポートするなどの活動が行われており、企業として取り組むことでより男性の育児に対する理解が高まるでしょう。

なぜ建設業で”パタハラ”に対処しなければならないのか

建築・建設業では、男性がメインの職場であるため、パタハラが横行しやすい環境だといえます。

また、常に人手不足の状況で、正しく知識や技術が継承されていない問題も大きいです。

そのため、パタハラに対処している企業や会社だとアピールできるだけで、人材確保や人材流出を防げるでしょう

昔の価値観を改めて、時勢に沿った経営方針が大切です。

まとめ

パタハラは、日本おいてまだ意識が低い男性の育児に関する理解不足により発生している傾向にあります。

よって、発生を予防するためには企業側だけでなく関連する要員が男性の育児に関して正しい知識を持つことが重要です。

企業におけるハラスメントの中で、パワハラやセクハラと同じような位置づけになったパタハラについて、適切な対処を図ってください。

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