投稿日:2024年02月07日/更新日:2024年09月12日

2024年問題|働き方改革関連法について建設業の課題を徹底解説

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2024年4月1日から適用される「働き方改革関連法」について、どのようなことが必要なのか、どのような内容なのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、働き方改革関連法を簡単に分かりやすく、図解しながら説明します。

ぜひ参考にして、必要な対策を始めましょう。

建設業の「2024年問題」とは

建設業で話題になっている2024年問題とは「働き方改革関連法」が適用開始される2024年4月1日までに解決するべき労働環境問題のことです。

働き方改革関連法の正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」で、長時間労働の是正、正規・非正規社員の格差是正などを通じて、日本全体の労働環境を大きく改善することを目的としています。

この働き方改革関連法が、2024年4月1日から建設業でも施行されるのです。

建設業以外に適応開始される業種

2024年4月1日から、働き方改革関連法が適用対象となる業種は以下のとおりです。

  • 建設業
  • 運送業
  • 病院等
  • 鹿児島・沖縄の砂糖製造業

これまで、5年間の猶予期間が設けられていましたが、ついにこの時がやってきました。

建設業の2024年問題|働き方改革関連法の概要

本章では、働き方改革関連法によって、建設業でどのようなポイントが変化するのかを解説します。

主なポイントは以下の2つです。

  • 時間外労働の上限規制
  • 割増賃金の引上げ

それぞれ解説します。

時間外労働の上限規制

2024年4月1日より、時間外労働時間に罰則付きで上限が設けられます。

時間外労働の上限規制とは、労働時間は労働基準法で原則1週40時間、1日8時間(法定労働時間)以内であることを定めた規則です。

大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から適用されています。

しかし、建設業をはじめとする適応外業種には適応されていませんでした。

これらの適用猶予業種は適用までの猶予が5年間ありましたが、2024年4月1日からは適用猶予業種にも時間外労働の上限規制が適用されます。

参照:時間外労働の上限規制|厚生労働省

今後は、事業所が従業員に残業を頼む場合は、以下の2つを完了しておかなければなりません。

  • 労働基準法第36条に基づく労使協定「36協定」の締結
  • 所轄労働基準監督署長への届出

違反した場合、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられるため、事前の対策が必要です。

時間外労働時間の上限規制は原則として月45時間以内、年360時間以内。

もし、やむを得ない事情で労働者と事業所が合意した場合は特別条項が適用されるため、例外として年720時間(月平均60時間)の時間外労働が可能です。

ただし、災害からの復旧・復興のための業務などは、特例として「2〜6ヶ月の平均が80時間以内」「月100時間未満(休日労働を含む)」は適用されません。

参照:建設業界の現状とこれまでの取組|国土交通省
参照:時間外労働の上限規制わかりやすい解説|厚生労働省

割増賃金の引上げ

建設業も、企業の規模に関係なく月の時間外労働が60時間を超える場合は、50%の割増賃金を支払わなければなりません。

ちなみに、従業員と同意の締結があれば、割増賃金を支払う代わりに、時間外労働分の代替休暇を与えることも可能です。

また、法定休日労働に関しては休日労働の割増賃金率である35%が適用されます。

ただし、月60時間の時間外労働時間の算定には含まれません。

建設業の2024年問題を解決する具体的な対策法

本章では、2024年問題を解決に導く、具体的な対策法を3つ紹介します。

方法は以下のとおりです。

  • 休日を確保できる工期の設定
  • 適正な労働時間を管理する
  • AIやIOT、ICT建機を導入する

それぞれ解説します。

休日を確保できる工期の設定

まず、最も大切なことは、短納期(工期ダンピング)の仕事は受けないことです。

しかし、付き合いや関係性、そのほかさまざまな問題があるかもしれませんが、適正な工期を算出した上で請負契約を締結しましょう。

また、発注者側も施工条件などを明確化して、適正な工期を示した上で請負契約を設定・依頼することが求められています。

余裕を持って、工期を算出するように心がけることがポイントです。

参照:適正な工期設定等のためのガイドラインについて|国土交通省

適正な労働時間を管理する

労働時間の把握は、2019年4月に労働安全衛生法が改定されてから義務化されていますが、再度見直してみましょう。

  • タイムカードやICカード
  • パソコンでのログイン記録など

原則、自己申告は認められていませんが、現場からの直帰などは自己申告が認められています。

また、労働時間の把握やその他の書類(名簿、台帳、タイムカードなど)は、労働基準法第109条に基づき3年間の保存義務があります。

仮に適切に管理がされていないと判明した場合は、30万円以下の罰則があるため、注意しておきましょう。

AIやIOT、ICT建機を導入する

昨今の人手不足や人材不足で、生成AIやIOT、ICT建機に注目が集まっています。

さまざまなツールを導入することで、工期の短縮や人的コスト削減が可能で、生産性の向上も進められるでしょう。

IOTとは、さまざまなモノがインターネットに接続し、相互に通信する仕組みです。

一方、ICT建機とは、情報通信技術を取り入れた建設機械のことを指します。

ただし、ツール導入にはコストがかかるため、パフォーマンスを考慮して取り入れましょう。

参照:ICT建設機械による施工について|国土交通省
参照:建設業をとりまく課題と今後の取り組みについて|国土交通省

まとめ

2024年問題である「働き方改革関連法」の、時間外労働の上限規制や割増賃金の引上げの猶予期間が終了します。

建設業は2024年4月1日の適用までに、労働環境改善に取り組まなければなりません。

ぜひ記事を参考にして、労働環境の是正に努めましょう。

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