投稿日:2024年10月30日/更新日:2024年10月30日
ゼネコンの大手5社とは?各企業の特徴や強み、今後の動向も徹底解説
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ニュースなどを見ていると、ゼネコンという言葉を頻繁に耳にします。
ゼネコンとは総合建設業者を指す言葉ですが、具体的にどのような企業を指すのかを理解している人は少ないのではないでしょうか。
では、ゼネコンとは一体どのような企業を指すのでしょうか。
本記事では、ゼネコンについて大手5社の特徴や強み、今後の動向について解説します。
普段何気なく耳にするゼネコンについて理解できる内容を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ゼネコンとは?
ゼネコンとは、ゼネラルコントラクターの略称であり、日本語に訳すと総合建設業者のことです。
ゼネコンには明確な定義はないものの、設計から施行、研究を自社で対応できる企業を指します。
また、大規模なプロジェクトを手掛けたり、専門業者への下請けを依頼したりする業務を担当するのが特徴です。
また、規模が大きな事業を手掛けることが多いため、売上額が大きい特徴があります。
ゼネコンについては、以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
ゼネコンの種類
ゼネコンには、先述したように売上額に応じて種類が異なり、以下の種類が存在します。
- スーパーゼネコン
- 準大手ゼネコン
- 中堅ゼネコン
各ゼネコンの詳細について、解説します。
スーパーゼネコン
スーパーゼネコンとは、売上高が自社だけで1兆円を超える企業のことです。
一般的に、ゼネコンと聞くと想像するのがスーパーゼネコンの場合が多いでしょう。
日本では、以下5社がスーパーゼネコンとして認知されています。
- 鹿島建設
- 清水建設
- 大成建設
- 竹中工務店
- 大林組
スーパーゼネコンは、ゼネコンのなかでも規模が大きい特徴があります。
これにより、日本の大きな建築の大半を請け負っているのがスーパーゼネコンです。
準大手ゼネコン
準大手ゼネコンとは、スーパーゼネコンに次いで売上高の規模が大きい企業のことを指します。
売上高で言えば、3,000億円から4,000億円以上の企業を指す場合が多いです。
- 前田建設工業
- フジタ
- 戸田建設
- 五洋建設
- 三井住友建設
- 熊谷組
また、独自の工法や技術があり、高い技術力がある点も特徴となります。
さらに、ダムなどの大型事業を手がけるケースも多くみられます。
中堅ゼネコン
準大手ゼネコンとは、売上高が1,000億円前後の企業を指します。
準大手ゼネコンは、以下の企業を指す場合が多いです。
- 安藤ハザマ
- 戸田建設
- 五洋建設
- 西松建設
- 長谷工コーポレーション
中堅ゼネコンの場合、建築工事と土木工事の割合をみると受注高ベースではほぼ同数の割合となっている特徴があります。
中堅ゼネコンは、地元密着の企業が多い特徴があり、人材不足の傾向にあります。
スーパーゼネコン大手5社の特徴を紹介
建築業界に詳しくない方でも、スーパーゼネコンの名前は聞いたことがある企業ばかりでしょう。
ここでは、スーパーゼネコン大手5社の特徴について、さらに深堀して解説します。
鹿島建設株式会社
鹿島建設は、1840(天保11)年に鹿島岩吉、江戸中橋正木町で創業。
1840年は江戸時代中期から後期、イギリスや中国ではアヘン戦争が行われていた時代です。
2024年3月の段階で売上高が1兆5,530億円、従業員数は10,321人を誇る大企業です。
鹿島建築は業界のパイオニアと呼ばれており、100m以上のビルを日本で初めて建築したことで有名です。
フジテレビなど特徴的な建築も多く、世界的にも有名な企業となっています。
さらに、企画から設計、施工、そして建物竣工した後の管理に至るまで、すべての段階で専門家が連携する、グループの総合力が魅力的な企業です。
平均年収は長年の間トップをキープしており、就職先としても魅力的な存在といえるでしょう。
清水建設株式会社
清水建設は、1804(文化元) 年に初代清水喜助が江戸・神田鍛冶町で清水屋を創業したことで起こります。
2023年度の受注高は1兆8,522億円であり、前年対比で22.2%増加。
2018年度に1兆7,255億円と高い売り上げとなったものの、2020年度には大きく落ち込みました。
その後、回復基調にあり2023年度には直近12年間で最高の売上高となっています。
従業員数は、2023年度は10,949人でスーパーゼネコンの中で最も多いのが特徴です。
清水建設の特徴として、医療・福祉施設の受注が多い点が挙げられます。
また、医療・福祉施設以外では、社寺建築や伝統建築も得意としている点が特徴的です。
さらに、ハウステンボスなどの大型テーマパークの建築実績も豊富にあります。
1970年代からは海外進出を果たしており、約60カ国での施工実績に加え、東南アジアを中心として世界各国でインフラ建築を担当しているのが特徴です。
近年は、生産性向上を目的としてロボット技術を活用した施工にもチャレンジしています。
株式会社竹中工務店
竹中工務店は、1610年(慶長15年)関ケ原の戦いの10年後に、名古屋で創業し神社仏閣の造営を業としました。
2023年の受注高は1兆2,731億円であり、前年対比16.6%増加しています。
直近12年で最も売上高が低かった2011年の7,546億円と比較すると、68.7%売上を伸ばしています。
従業員数は、2023年は8,062人で2021年から減少傾向にあるのが特徴です。
竹中工務店の特徴としては、棟梁精神・作品主義・設計施工一貫にこだわっている点が挙げられ、職人技が光る建築物が多く見られます。
竹中工務店では、建築物を作品と呼んでおり、最良の作品を世に遺して社会に貢献することを経営理念にしているのが特徴です。
竹中工務店が手掛けた主な建築物としては、東京タワーや日本武道館、あべのハルカスが有名でしょう。
ほかにも、1991年にビルのロングライフ化に寄与する目的で誕生した、既存建築物に対する表彰制度であるBELCA賞の受賞数は業界トップクラスを誇っており、多方面から高く評価されています。
大成建設株式会社
大成建設は、1873年(明治6年)東京にて創業、社名は創業者・大倉喜八郎の戒名にちなんでつけられました。
2023年度の受注高は1兆5,830億円あり前年から7.5%増加、直近12年間では最高の売上高を記録しています。
従業員数は2018年から緩やかに増加しており、2023年度にはついに10,068人と大台に乗りました。
市街地再開発事業を得意としており、シェアは20%を超えているのが特徴的です。
また、スーパーゼネコンの中で唯一非同族経営であり、風通しの良い社風となっています。
市街地再開発事業に強みがあり、川崎駅北口地区第3西街区のDICE(ダイス)や、千葉駅西口地区のウェストリオといった、さまざまなエリアの再開発やビルの建設を担当。
再開発や施設運営といった都市開発事業に注力しており、全国の法定再開発案件の20%程度を担当し、ゼネコンの中でもトップをキープしているのです。
大型案件以外でも、スーパーゼネコンの中で唯一住宅事業を行なっている特徴もあります。
海外での大規模インフラ整備にも強みがあり、ボスポラス海峡横断鉄道トンネルは難易度が高い海底トンネルを完成させたことでも有名です。
株式会社大林組
大林組は、1892年(明治25年)大阪市西区で創業、ほかのスーパーゼネコンと比べて比較的新しい企業です。
2023年度の受注高は1兆6,016億円であり、前年度から7.2%の増加。
2019年度から右肩下がりで徐々に低下していたものの、2023年に久々に増加した形です。
大林組の場合、建築工事と土木工事のバランスがスーパーゼネコンの平均とほぼ同等となっています。
従業員数は、2012年度から12年連続で穏やかな増加傾向を示しており、2023年度は10,230人でした。
大林組の特徴として、東京スカイツリーを単独施工した点が挙げられます。
これにより、技術力の高さやチャレンジング精神の強さをアピールすることに成功しています。
時代のシンボルとなった建物を多く手掛けており、東京駅や大阪城天守閣を担当したことで有名です。
他にも、2050年宇宙エレベーター構想や森林と共に生きる街LOOP50建設構想を発表するなど、革新的な事業にも積極的に取り組んでいます。
スーパーゼネコンの将来性はある?今後は?
スーパーゼネコンは、各社が2023年の売上高でみれば直近で最高額を記録しています。
東京オリンピックの誘致による大規模な建築は終了したものの、大阪万博を控えておりより多くの需要が見込まれています。
さらに、リニア中央新幹線の需要が見込まれており、総工費は約5兆5,000億円もあると見込まれている状況です。
以上から、スーパーゼネコンは当面の間は活況を呈する状況になると見込まれています。
ほかにも、防災意識や環境意識の高まりによって、安さよりも付加価値が要求される傾向にあり、今後も継続して成長していくとみられています。
さらに、新幹線や高速道路、火力発電や原子力発電などのインフラ技術を海外に輸出すると同時に、現地の子会社を立ち上げて施工や管理まで引き受けるケースも増加中です。
大手ゼネコンによるIT技術革新が進んでおり、鹿島建設ではAIで建物の生涯CO2排出量を正確に算定し、最適な削減プランを提案することで、最適な設備機器を選定する際に役立っています。
参照:AIを活用し建物のライフサイクル全体のCO2排出量を正確に算定|鹿島建設
また、大林組でも手描きのスケッチや文章を基に、建物の外観デザイン案と生成したデザインを基に3次元(3D)モデルを作成するAIツールを開発。
参照:建築設計の初期段階の作業を効率化する「AiCorb®」を開発|株式会社大林組
建築分野だけにとどまらず、ITやAIを駆使した幅広い分野で活躍しているのも特徴的です。
建設業界と生成AIの関係性については、以下の記事でも詳しく解説しています。
まとめ
スーパーゼネコンは、身近な建物や普段何気なく利用しているインフラなどの建築に携わっています。
新しいことに常にチャレンジし、魅力的かつ使いやすい施設が増えているのが特徴的です。
そこには、スーパーゼネコン各社が創意工夫を凝らして新しい技術の開発にチャレンジしているからこそ、なしえているのです。
工事現場では看板に企業名が書かれているケースが多いので、どの企業が建物を作っているのかをチェックしてみてはいかがでしょうか?